世界史雑考

歴史学習

◎『緊急提言 パンデミック』を読む

ユヴァル・ノア・ハラリの本。一応読む。
気に入った部分勝手に紹介する。
(p51)<アメリカという空白>
2008年の金融危機や2014年のエボラ出血熱の大流行といった、これまでのグローバル危機では、アメリカがグローバルなリーダーの役割を担った。だが、現在のアメリカ政権は、リーダの仕事を放棄した。そして、人類の将来よりもアメリカの偉大さのほうをはるかに重視していることを、明確に示してきた。/この政権は、最も親密な盟友たちさえも見捨てた。EUからの入国を完全に禁止したときには、EUに事前通告さえしなかった。そして、伝えられるところによれば、新しいCOVID-19ワクチンの独占権を買い取るために、あるドイツの製薬会社にf:id:toktan:20201012202303j:plain10億ドルという金額を提示したことで、ドイツを呆れ返らせた。アメリカが残した空白を埋める国が出てこなければ、今回の感染症の大流行に歯止めをかけるのがなおさら難しくなるばかりか、その負の遺産が、今後長い年月にわたって国際関係を毒し続けるだろう。とはいうものの、危機は、好機でもある。グローバルな不和がもたらす深刻な危機に人類が気づく上で、現在の大流行が助けになることを、私たちは願わずにはいられない。